どうも。
今回はこちらのイヤホンのレビューを行っていきたいと思います。
以前eイヤホンの店頭で試聴機を聴いて以来、バランスの良い出音ながら没個性じゃない点が印象に残っておりそれから暫くして中古品を再試聴して(その内買うかもなぁ…)と思っていた矢先にフリマサイトでお手頃なブツがあったものでつい手が滑ってしまいました。元来多ドラ好きな自分としては2桁ドライバーは所有するだけでQOLが上がるのでなんぼあっても良いですからね。
それでは本題に入っていきましょう。
【スペック】
- ドライバー構成:12BAドライバー(低域x2、中域x2、高域x4、超高域x4)
- インピーダンス:9Ω±15%
- 周波数特性:10Hz-40kHz
- 感度:109dB±3dB(1kHz)
- ケーブル長:1.5m(2pin銀メッキ銅線、埋め込みコネクタ)
【使用感】
- 感度:音量は取りやすい部類です。音楽プレイヤーでなくとも十分に音量を取る事が出来ます。
- フィット感:IEM然とした形状でイヤピとシェル、耳掛けフックの3点でしっかりとホールド感を感じられます。耳のサイズが小さいとシェルのサイズが大きく厚みがあるので十分にフィットさせられないかも知れません。ちなみに今回はSpinfit W1のSSサイズを使用しています。
- ケーブル:純正は銀メッキに透明被膜となっています。撚り線タイプのケーブルで程々の弾力と癖が付きにくく取り回しも良好です。線材自体の質としてはそこそこで予備用のYu9Audio 純正4.4mmケーブルと大きな違いはなかったので今はYu9のものに変更しています。クリアー被膜のケーブルは酸化により緑化したりする事もあるので自分は好んで使用はしませんね。またイヤホン本体の2pinコネクタは埋め込みタイプでサイズがADV専用のものなのか一般的なCIEMケーブルだと奥まで押し込めない(固定は出来る)のでご注意下さい。
- メンテ:イヤホン本体は凹凸の少ないシンプルな形状となっておりクリーニングがしやすいです。また音導管にはメッシュフィルターが装着されており、クリーニングツールで耳垢の除去もしやすいです。
【音質について】
※上の表は音の量感を表したグラフで、高いほど高音質と言う訳ではないのでご注意下さい。環境はHiby R6III直接続です。
【低域】
控え目ながら左右への広がりも十分で圧迫感を極力低減しながらも量感はベースの軸を中心に程々に残し、マイルドに仕上げられています。キックのアタック感もリリースまでのレスポンスが俊敏でもったりした感じもありません。点で来る低域というよりかは面で来るタイプの耳下から包み込む様な低域をしています。
【中域】
このイヤホンの魅力とも言える帯域でボーカルが中央にビシッと定位しハッキリと音のピントが合っている事がすぐ分かります。コンデジや最近のスマホでポートレート撮影をした時の背景等をデジタル処理をした様な明確な区分けがされていますね。まるで主役がボーカルだと言わんばかりの声の浮き出し様です。ただ他の帯域との繋がりは滑らかでピントの段階分けが非常に細かく行われている様に感じました。メロディ類も閉塞感なく素直に伸びますね。
【高域】
高域と超高域にそれぞれ4基ずつBAドライバーを搭載しているので刺さる手前のギラつき感が味わえるのかと思いましたが案外そうでもなく、実直に・繊細に・伸びやかにを実現した非常にモニター然とした系統のサウンドでした。非常にマイルドで気になる尖りや癖の無い聴きやすさが感じられます。ボーカルやメロディの伸びやかさや響きを更に引き立てる名脇役を担っています。量感や左右への広がり自体は中域に比べると控え目でウェットな鳴り方。
【全体】
このイヤホンで個性的なのは各帯域の鳴る位置がセパレートされており、それが頭内での立体的な空間づくりの役目を果たしているという所でしょうか。空間自体は開放タイプに比べると頭外へ抜けていく様な感覚はありませんが音が帯域や楽器パート毎に整理され、ピントをコントロールしながら前後左右へ配置されていると錯覚させられるので窮屈には感じませんでした。バランスとしてはボーカルの軸だけ強調されたワイドなかまぼこ型ですが人によってはフラットに感じるかも。
モニター系な音作りでありながらボーカルが特に目立つので面白味がありリスニングとしてもイケる、そんなオールラウンダーな一面も持っているイヤホンだと感じました。アーティストのボーカルと引き立てるコーラスを余すことなく浴びたい・包み込まれたい、そんな方の求めるイヤホンは案外コレなのかも知れません。ちょっと尖った個性を持つ、そんなイヤホンを数多く輩出するメーカーですがこのイヤホンに関しては割とウケは良い気がします。今は販売終了してしまいましたがたまーに中古市場で見掛けるので価格対ドライバー比では割とコスパ良いこの機種を試し聴きしてみるのはいかがでしょうか。