物置小屋No.44二番館

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【レビュー】Campfire Audio Supermoon(ユニバーサル) 平面駆動イヤホンの火付け役!シルキーながらメリハリあるCAサウンドが癖になる

どうも。

今回はこちらのイヤホンを入手しましたのでレビューしていきたいと思います。

Camprfire Audio Supermoon(Universal)

このイヤホンが登場したのは割と最近の事なのですが、CIEMとして登場したのは2022年7月。私は店頭で試聴機を聴いたのですが(この音良いな~いつか買いたい一品だな~ユニバーサル版が登場してくれたらなぁ…)と思わされる程かなり好みの音だったのでユニバーサル版が登場すると聞いて買う事を決意しました。そうして今年分の給料を握りしめeイヤホンへ向かったのでした…。そしてこのイヤホンが登場してから一気に平面駆動1発のイヤホンが続々と登場してきた印象があります。火付け役の実力や如何に。

ちなみにこのイヤホン、eイヤホンやフジヤ等国内ではブラックカラーしか販売されていないのですが、公式ストアや代理店であるMixWaveオンラインストアではオレンジカラーも選択する事が出来ます。私はその事をポタフェスのMixWaveブースでスタッフの方に聞いてちょっとばかり後悔しました。何故ならユニバ版はMMCXコネクタカバーがブラック・オレンジ共通でオレンジカラーだからです。折角ならコネクタも本体も同じ色にして統一感を出したかったですね。後単純に好きなバイクメーカーのトレードマークカラーがオレンジだからです。バイク好きな方ならすぐに分かりますよね。

それでは本題に入っていきましょう。


【スペック】

  • ドライバー構成:平面磁界型1ドライバー(14mmフルレンジプラナーマグネティックドライバー/2ミクロンダイヤフラム)
  • インピーダンス:15.5Ω(1kHz)
  • 周波数特性:5Hz~20kHz
  • 感度:94dB(54.0mVrms SPL)
  • ケーブル長:約135cm ※耳掛け部分除く、投稿者測定

感度は若干低めですがインピーダンスが低いのはCAのイヤホンの多くに言える特徴ですね。上流の性能次第で更に化ける可能性を秘めています。また平面駆動機種はよりレンジが広いものかという認識がありましたが、一般的なイヤホンの可聴帯域+αの範囲に納まっています。


【使用感】

  • 感度:他の手持ちイヤホン(U12tやN8等)と比べ若干音量を取ります。私の環境では4~5目盛り程ボリュームを盛ってあげると大体同じ音量バランスになる印象です。一般的なDAPであれば音量については十分事足りると思われます。
  • フィット感:結構有機的というか人間工学的な形状をしているため可能であれば店頭で試着・試聴してみる事をおすすめします。しかし普通の耳のサイズの方であれば多くの方が問題なく良好なフィット感を得られるかと思います。買った状態ではフォームタイプのイヤーピースが装着されていますが、私はシリコンタイプにすぐ変更しました。密閉感が好きなのと耳奥へ押し込むとなるとシリコンタイプの方が有利なんですよね。
  • ケーブル:最近のCA様お気に入りのシルバーきしめんケーブルになります。店頭で見掛けた当初はちょっと威圧感を感じましたが、いざ使ってみると堅牢感あり重量感が丁度良い、巻き癖が付きにくい、タッチノイズ余り無い、と結構使い心地は良好です。強いて短所を言うとするとケーブル長が長い事ですね。軽く測ってみても130cm以上はありますしデスクでDAPを机上に置いて作業する分には丁度良いのですが持ち歩く際は垂れたケーブルが段々うっとおしくなってきます。
  • メンテ:人間工学的なうねった形状をしているのでクロスで拭き上げるのが少々手間ですね。またコネクタと繋がるフェイスプレート金属パーツと黒(もしくはオレンジ)の筐体部分の継ぎ目に汚れが溜まりやすい印象を受けました。この辺りはクリーニングツール等のブラシで掃く様にした方が良さそうですね。また上記金属パーツは指紋が目立ちやすいので購入したら早めにガラスコーティングした方が良いかと思います。
  • その他:付属品のケースはハードタイプではなく柔らかい革製となっております。サイズも使い勝手も長財布をイメージして頂ければ分かりやすいかと。質感高く薄型なので持ち歩きにもスペースを取らず良い具合です。

【音質について】

※上の表は音の量感を表したグラフで、高いほど高音質と言う訳ではないのでご注意下さい。環境はHiby R6III直接続です。またケーブルは純性4.4mmバランスプラグの状態です。

【低域】

他の帯域に比べると若干大人しめで首下へ行くような深く沈み込む感じや弾力感はあまりありませんが、存在感、量感は確かに感じられ、点で圧してくるより広い面で包む様に圧して中高域から下の帯域をしっかりと下支えしてくれている印象を受けました。優しく広がっていくので相応に音空間も広く感じられますね。ベースがメインとなる楽曲ではしっかりと主役としての役割を果たしてくれており、不満を抱かせない所にチューニングの妙を感じました。サブベースのヴーンとした鳴りも長時間聴いても全然聴き疲れしないですね。

【中域】

量感としては低域・高域から僅かに引いた位置にありますが決して埋もれる事無く上手く調和、中和されて鳴らされています。引いたとは言いましたがこのイヤホンの魅力ポイントでもあるのが中域。ボーカルがウェットな質感で息遣いを鮮明に感じられる生々しさが感じられます。近くは無いけれどしっかりと音の粒一つ一つを感じられるピンと張った膜が存在する感じがありますね。メロディラインについては明るく情報量豊かで鮮やかに描写してくれています。歯擦音は楽曲によっては刺さる少し手前まで出ておりこれもまたリアルさを上手く表現出来ていると感じました。

【高域】

CAのBAを積んだ多くのイヤホンのイメージとして感じられるのが明るく煌びやかな金物類の鳴りなんですが、Supermoonでもその片鱗を感じられました。エッジは多少丸みを帯び耳当たりが優しくなりましたが金物類のキラリとした金属感や爽やかさがしっかりと感じられ明るく伸びやかです。どちらかというと自然さが加わったというかナチュラルな鳴りになり、抜け感も良好な印象を受けます。情報量もしっかりと伴っており鳴り物のアタックからリリース後の歯切れが良く微細なニュアンスも追い切れるというか感じ取れますね。

【全体】

マイルドでナチュラルながら決してつまらなさを感じさせない絶妙なCAサウンドバランスとしては若干中高域寄りのフラット傾向でしょうか。粒立ちが非常に細やかでしっかりと解像感・明瞭さを感じる事が出来ます。そこから来る耳当たりの良さというかマイルドな感覚があるのですが、ドライバー自体の瞬発力が高くスピーディーでレスポンスが良いので各楽器のアタック感、いわゆる立ち上がりの早さとキレの良さがありもっさりとした印象は全く受けません。各帯域の繋がりはマイルドなのに聴き心地はとてもスッキリとしており、平面駆動ならではの本来相反する要素が両立している不思議な感覚を心行くまで味わえる一品です。各帯域の繋がりは滑らかながら分離ははっきりとしておりどの楽器にフォーカスしても詳細に聴きとれる魅力があります。空間も縦横に広がり立体感が感じられます。そのレスポンスの良さを活かして楽曲に合わせて聴かせたい所を聴かせてくれる柔軟性も併せ持っています。


このイヤホンを店頭で購入した理由ですが、直前まで試聴してからの方が購入の踏ん切りがつく事と店頭の方が10%程安かった覚えがあったからですね。確かオンラインストアで付くポイント分安くなっていたのをいつかの店頭で見て、ポイント使わないから安くなる方が良いなと思い店頭に行ったんですが、ストア価格と変わってませんでした。店頭もオンラインストアも統合されたのかとずっと頭に?マークを浮かべながら会計を済ませましたね(笑)

このイヤホンにスペック的にも価格的にも競合するのが私的にはMADOOのTyp821では無いかと思っています。ヘッドフォン祭で試聴した際の印象はかなりクールでシャープな寒色系サウンド。それに比べるとSupermoonは程よく暖かみがあり、どっちの平面駆動が好みか票が分かれそうな気がします…!