物置小屋No.44二番館

イヤホン聴いたり、何かレビューしてみたり、他自分の備忘録

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【レビュー】SeeAudio Rinko 大らかな低域と生々しいボーカルが際立つ

どうも。

今回はこちらのイヤホンを入手しましたのでレビューしていきたいと思います。

SeeAudio Rinko(白)

ちょっと前から低価格で平面ドライバー搭載ハイブリッド機という事で話題になっていたイヤホンですね。それを疑った方も少なからず居て分解画像なども出回っていたのが記憶に新しいです。結局、独自開発の平面ドライバーという所に落ち着いたとか何とか。私個人としても平面「駆動」と入れるとヘッドホン等の平面駆動式と語弊が生まれそうなので平面ドライバーと表記します。平面ドライバーと言えばヘッドホンでは滑らかな帯域表現がウリなイメージがあります。それがイヤホンに搭載されるとなるとどういった鳴りになるのか楽しみです。

それでは本題に入っていきましょう。

【スペック】

  • ドライバー構成:ダイナミックドライバー(低域)、平面ドライバー(中高域)、2WAY
  • インピーダンス:30Ω
  • 周波数特性:20Hz-20kHz
  • 感度:112±1db
  • ケーブル長:非表記

ちなみに今回ケーブルは4.4mmバランスケーブルにして頂きました。平面ドライバーをしっかり駆動させるとなると出力の大きいバランス端子の方がよりドライバーの強みを活かせると思ったからですね。


【使用感】

  • 感度:他の手持ちイヤホンに比べて大きくボリュームを必要とする事はありませんでした。U12tやN8と同じ位でR6 IIIで大体40前後で丁度良い塩梅でした。(最大70設定)
  • フィット感:イヤーピースとその周辺の外耳とSHURE掛け(耳掛け)で支える感じで可もなく不可もなくと言った所です。耳全体に浅く蓋をするかのようなフィット感。しかし筐体自体が4gと軽量なので歩行程度であればずり落ちる事は無いでしょう。純正イヤピは傘の部分に低反発素材が入っており音の密度、特に低域の量感が強まるのですがフィット感が硬めになってしまい若干耳から抜けやすくなってしまうので個人的には他社製の普通のシリコンタイプのイヤピをおすすめします。自分はお馴染みfinalのEタイプのSサイズを装着しています。イヤピのサイズはワンサイズ下げた方がより耳奥へ押し込めるので是非試してみて下さい。私がfinalのイヤピを多用するのは装着感の良さとコスパの高さがバランス良いからなんですよね。
  • ケーブル:銀色の撚り線ケーブルで質感も中々悪くないです。強いて言えばプラグとコネクタ、分岐部分のカバーが鏡面仕上げでがチープな感じがします。巻き癖は付きにくくケーブルの太さも程よく皮膜も柔らかいので取り回しも良いです。というか手持ちのバランスケーブル達が太かったり巻き癖が凄かったりと癖のあるものばかりだったのでやっとまともなケーブルが来たぞと安堵しております。
  • メンテ:特に尖った部分や凹んだ部分も無くクリーニングはし易いです。音導管には埃侵入防止用の金属フィルターがあり耳垢の除去も楽なのは良いですね。

  • その他:白バージョンのイヤホン筐体はFP以外は半透明で内部のドライバーやベントに繋がる音導管が見れるのは魅力的ですね。純正ケースは身に着けるアクセサリーを入れる様な小洒落た箱で中にケーブルを纏めるスナップボタンが縫い付けられています。後は化粧箱にも大きく描かれているキャラクターの色紙やカード、缶バッチ(こちらは白バージョンのみ)が入っているのも面白い所です。

【音質について】

※上の表は音の量感を表したグラフで、高いほど高音質と言う訳ではないのでご注意下さい。環境はHiby R6III直接続です。またケーブルは純性4.4mmバランスケーブルです。

エージング前後の印象】

箱出し時点で印象的なのは量感と弾力感が感じられる力感ある低域ですね。そこにクリスピーなボーカルや鳴り物類が乗っかってきている感じで人によってはちぐはぐさを感じる方も居るかも知れません。またギター類の音が明確に近くで鳴りますね。エレキもアコギも関係なく耳のそばで鳴ります。低域についてはエージングが進む事で大分緩和されギュッと詰まっていた感じが程よく薄まり広がりも感じられるマイルドな暖色系低域に変化していきます。中高域もエージングが進むと低域と馴染み前に出てくる様になり音にまとまりが出てきますね。Chord&Majorのエージング音源を1周再生後にすぐ聴くと一瞬音像が曇り気味でぼやけている様に感じましたが1~2時間程度通常音量で音楽を再生すると本来の実力を発揮し始めました。エージングとその後の鳴らし込みが重要な機種となりそうですね。

【低域】

弾む様な弾力感もあり左右から広い面で包まれる様な圧を感じられます。圧迫感はそれなりにありますがぶわりと広がりが感じられるため聴き疲れはしにくい印象。重いけれどクドさや嫌味は感じないという丁度良い塩梅で第一の魅力ポイントとなっています。音の芯がしっかりと感じられますが輪郭が若干ぼやけ気味で良くも悪くも古き良きDDらしさを感じます。しかしながらレスポンスというかキレが良くそこまでもったりとした感じを残しません。量感自体は多目ですが他の帯域を余り邪魔する事無くしっかりと音の土台を担ってくれています。

【中域】

ボーカルはウェット寄りで滑らかで程よい透明感を伴っています。このイヤホンの第二の魅力ポイントと言えてバチバチに解像してやるって感じではなく空気感や生々しさの表現に長けている様に感じました。この帯域が特にナチュラルで誇張感なくするすると耳に入ってくる印象です。これは平面ドライバーの滑らかな帯域表現のなせる技ですね。繊細さ・明瞭感は価格なりです他の帯域との調和が取れているのが個性的です。ベースとボーカルが中心となる曲は是非これで聴いてみて欲しいですね。

【高域】

ハイハットなど金物類の鳴り方は至ってドライで素直。粒立ちも良いです。変に飾り付けされていないサウンドで音楽全体でニュートラルな立ち位置です。量感自体は中域と同じか若干少ない程度に前に出てきており他の帯域に邪魔をされている印象は受けません。どちらかと言えばもう少し下の帯域のメロディラインがよく聴こえます。程よく角が丸められた高域で聴き心地の良さや刺激感の軽減に役立っていますが伸びの良さやアタック感は弱目ですね。煌めく感じは弱目でこの帯域はとてもマイルドな聴き心地です。また抜けの良さを主張するよりかはこちらも滑らかな帯域表現を優先していると言った所で堅実に鳴らす傾向でした。

【全体】

低域に重きを置きながらも曲構成全体を落ち着いて見渡せるしっとり系サウンドバランス的には弱ピラミッド型と言った所でしょうか。ハイブリッドながら各帯域の繋がりは自然で誇張感がなくナチュラルな印象を受けました。解像感は価格なりな所はあり、他の手持ちイヤホンからこれに替えて聴き始めると最初はアレっ?と思うのですが10分も聴いていると帯域の繋がりの滑らかさや大らかな低域に耳が慣れてマイルドな聴き心地に浸る事の出来る、いわゆる噛めば嚙むほどではなく聴けば聴くほど馴染んでくるスルメ系イヤホンですね。低域中心となって音が広がっていく感覚があり土台が広いので音空間もそれなりに広く感じられます。ボーカルの滑らかさを始めとしたしっとりとした生々しさの表現に長けており、ここにブレス(息遣い)の表現も加われば更に低域寄りボーカルホンとしての地位を確立出来たと思います。評価の通りしっとりとしたボーカルにベースが映えるイヤホンで最近流行りのカリッとしたピーキーな超高解像チューニングではありませんのでどんなジャンルの楽曲も肩の力を抜いて聴けます。この優しくも力強く広がる低域に酔いしれるのも一興です。


エージングが重要なスルメ系イヤホンをレビューする時に大変な事は聴き始めと暫く経ってからの印象が大分ズレてくる事ですね。今回もこれで何度か記事を書きながら修正する羽目になりました。

普段は余り積極的に手を出す事の無い低価格中華ホンですがこうして聴く度に新たな発見がある事が良い所ですね。何気に初の平面ドライバー機種となります。この前eイヤ行った時に付属品欠品の水月雨のStarfieldが7000円だったので非常に悩みました(笑)

ともかく、生々しいボーカルを味わえるイヤホンはこの価格帯では中々見ないので店頭で見掛けた際は是非とも試聴してみて下さい!あ、エージングが重要な事もお忘れなく!