物置小屋No.44二番館

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【レビュー】DUNU HAYABUSA ULTRA ナチュラルな爽やかさが光る微炭酸系イヤホン

どうも。

今回はこちらのイヤホンを提供頂きましたのでレビューしていきたいと思います。

DUNU HAYABUSA ULTRA

こちらのイヤホン、DUNU社よりご提供頂きレビューする形となりました。DUNU社からのご依頼は今回が2度目で次は無いだろうと思っていたので本当に思わぬオファーでした。イヤホンレビューをやっていて良かったと素直に喜べる瞬間ですね。

このイヤホンのお披露目は2023冬のポタフェスが初だったでしょうか、試聴した友人Aはこのイヤホン、中々やるぞとの事でしたのでこれからのレビューが非常に楽しみです。価格は約4万円ほどでこの価格帯、非常に強者揃いな価格帯であります。それに違わぬポテンシャルを見せてくれるのか、それでは本題に入っていきましょう。

【スペック】

  • ドライバー構成:ダイナミックドライバー1基
  • インピーダンス:16Ω(1kHz)
  • 周波数特性:5Hz-40kHz
  • 感度:108dB±1dB(1kHz)
  • ケーブル長:1.2m

この価格ながら10万越えクラスの同社ハイエンドモデル、ZEN PROの第2世代ECLIPSEダイナミックドライバーの構造をベースに造られているみたいですね。その上で振動板の素材はアモルファスカーボンからリチウムマグネシウム合金に変更されています。

◆音質変化ノズル採用◆

そしてこのイヤホンの魅力の一つがノズルを交換して音質傾向を簡単に変化させられるという事。ノズル、いわゆるイヤーピースをはめる部分を交換する事なんですが、ねじ込み式になっており工具要らずでその場で交換出来ます。結構様々なメーカーがノズル交換出来るイヤホンを出していて意外と互換性があったりなかったりするんですが、こちらのイヤホンも互換性があったら面白いですよね。ちなみにメーカー説明としては

  • 初期状態で装着されている青ノズル:透明でクリーン、素早いレスポンスが特徴
  • 金メッキブラスノズル:リッチ&ソフト、魅力的なボーカル、滑らかなサウンドが特徴

となっています。

◆シングル・バランスプラグ交換可能◆

第二の魅力ポイントがケーブル自体をいちいち取り外さなくてもプラグのみを交換出来るという事。これは最初から他社製のバランスケーブルをどうするかとか考える必要が無いので手間が少なくて個人的にはGoodです。


【使用感】

付属品類①
  • 感度:他の手持ちイヤホンに比べ大きくボリュームを必要とする必要はありませんでした。U12tやN8より若干低くても足りる程度で一般的なDAPであれば十分に音量を取る事が出来ます。
  • フィット感:今回は標準で着いてきたS&Sイヤチップをそのまま着用しての使用となりましたが、よくある丸いイヤーピースではなく円柱に近い形状でこれで上手くフィットするのか着用前は少々不安でした。しかしSednaEarfit XELASTECの様な弾性と程よい粘性(密着力)があり、重めの金属筐体ながらしっかりと支えてくれて安心感がありました。筐体自体が小振りなのもあり耳への収まりも良好です。このイヤホンは小さいサイズのイヤピで深めにフィッティングすると良いかと思われます。
  • ケーブル:グレーカラーの編み込みケーブルでシックな質感がイヤホンとマッチしています。プラグや分岐部分の金属パーツもしっかりとヘアライン加工されておりシックな雰囲気にまとまっていて質感高いです。ケーブル自体の質感ですが若干弾性と硬さを併せ持った使用感ですね。若干巻き癖が残る具合です。取り回しに関しては苦労するレベルではないので使っていて特に不満に感じる事はないでしょう。
  • メンテ:筐体内側に排圧調整ベントがあり、そこに埃などが詰まってしまうと音質に影響が出てしまうので付属のクリーニングツールでまめに確認・清掃すると良いでしょう。また筐体は鏡面仕上げなので指紋などの汚れや傷が目立ちやすいです。ガラスコーティング剤などでコーティングする事である程度軽減出来ますがやはりまめにクロス等で拭くのが大切ですね。
  • その他:イヤホンと一緒にBTR7始め小型のBTレシーバーやDAPを収納出来そうな実用的なケースと傷から筐体を保護出来るポーチや4種類のイヤーピースが付属品の目玉ですね。豊富な付属品類でユーザーの要求に対する真摯さが感じられます。

外箱&ケース

付属品類②(イヤーピースは4種類付属)

【音質について】

※上の表は音の量感を表したグラフで、高いほど高音質と言う訳ではないのでご注意下さい。環境はHiby R6III直接続です。またケーブルは純性4.4mmバランスプラグの状態です。

【低域】

ベースに程よく弾力感と空気感が感じられますね。量感的にも他帯域に比べて多いですが強調されている感じはそれほどでもなく、長時間聴いても耳が疲れてこない絶妙な塩梅となっています。低音の芯がしっかりと感じられ、低域自体はぼやける感じはありません。それでいて左右へのぶわりと広がる感じが心地良いです。芯がありつつも優しく広がりのある低域、個人的に好みな鳴りの低域です。下方向への音の沈み込みも十分にあり、ベースミュージックも心行くまで楽しめますね。レスポンスも良好で低音楽器の静と動の切り替えがはっきりと感じられます。

【中域】

ボーカルはウェット傾向ながら瑞々しさも併せ持っており熱量というか生声感を感じられます。突き抜ける様な抜けの良さというよりかはマイルドで自然な変な味付けのされていない中域はメロウな楽曲との相性が抜群で聴けば聴くほどにその魅力の虜となる事でしょう。強いて気になった点としては、楽曲によってはベースがと高い鳴り物(スネア等)が重なるとほんの僅かにマスクされているのが多少気になった位でしょうか…と書いていたのですが、エージングが進むにつれてその傾向もかなり解消されました。やはり1DD機種はエージングが進むにつれその多くがより洗練された音へと変化しますね。ボーカルは程よい距離感でコーラスも良好、メロディも明るく存在感がしっかりと感じられます。

【高域】

ドライで爽やか、抜けが良いです。粒立ちの良さも感じさせながらシンバルやハイハット等の鳴りがナチュラルで強調感なくスッと耳に入ってきます。それでいて耳障りになるような刺さり感は皆無で頭打ち感なくもったりとさせずに伸びる感覚は、ドライバーが上手く制動されているのがひしひしと感じられました。金属感はしっかりと感じるけれども硬くなり過ぎずその中間のバランスで、刺激的になり過ぎず楽曲のスパイスとなる金物類の美味しい所をしっかりと表現してくれています。ちなみに煌めき感は控えめですが響きは感じ取れる具合で金物類がバックグラウンドに消えゆく様を追う事が出来ます。

【全体】

肉感はありつつもクドくならずDUNUのイヤホンらしいナチュラルな爽やかさを併せ持っているイヤホンですね。バランスとしては低域を若干盛ったフラット~弱ドンシャリ傾向でしょうか。以前レビューしたDUNUのTITAN Sは聴感上はとてもフラットで無味無色なサウンドが一つの魅力であったのですが、こちらは音楽の美味しい所をメリハリを以て上手く表現してくれている印象を受けました。一見優しくも迫力を伴う低域に魅力を感じがちですがこのイヤホンの真の魅力はナチュラルな中高域なのではないかと思っています。アコースティックな楽器を使用した落ち着いた雰囲気の楽曲ではその楽器の生々しさ、しっとりとしたボーカルを余すことなく聴き取り堪能する事が出来ます。何より各帯域のコンビネーションが絶妙で1DD機らしく音の纏まりが良いですね。そしてエージングが進むにつれ音の纏まり、悪く言うとダマ感が程よくほぐれていき左右へ自然に広がっていく感覚があります。音楽のどの帯域に注目して聴くかというか音楽全体を流れる様に楽しめるリスニング寄りなイヤホンですね。特に生楽器ものに合う印象ですが、他のジャンルも関係なくエレクトロ系も物足りなさを全く感じさせず鳴らしてくれる懐の深さも持ち合わせていますね。

【金メッキブラスノズルの感想】

各帯域の繋がりがより滑らかになったのが一聴しての感想ですね。そしてボーカルが若干近付いてきている様に感じました。低域は特にその芯が強く、より太く響く様になりましたね、左右への空気が広がっていく感じは青ノズルの方があります。ブラスノズルは見た所、青ノズルからフィルターを取り去り音導管出口を狭めた様な造りなのですが、自分の経験からすると音導管が狭く長い程中高域の減衰が強まるのですがそれと似た現象なのでしょうか。ブラスノズルは金属感が程よくマイルドになり、よりメロウでムードのある音楽に合うようになったと感じられます。でも個人的には明るくハツラツとした青ノズルの方が好みですね。ボーカルの量感や質感についてはブラスノズル・青ノズル共に変化は殆ど感じませんでしたが、低域と高域の量感が変化する事で音傾向が変わるみたいですね。高域の鋭さはマイルドになり低域は芯が強くなる、結果的によりマイルドなサウンドへと変わります。これは聴く楽曲の傾向によって好みで調整するのが丁度良いでしょう。交換自体も専用工具は必要ないので左程大変では無いですしね。

ブラスノズルの音導管

付属品類はしっかりしてるし、音質についても総合力に優れているしで確実に最近の1DD中価格イヤホンは進化してきている事を体感出来ました。剛性の高い振動板を採用したドライバーはエージングによる変化幅も結構大きい傾向があるので鳴らし込み、大事です。エージングが進むにつれて音の広がりが加わっていく様はイヤホンを育成していくかのような楽しみがありますね。

発売されて間もない内に中古として出されてしまっているイヤホンを見かける事がありますが、開封して一聴して気に入らずエージングが進む前に売ってしまった可能性も考えられるなと思いましたね…

この価格帯となってくると私も含め多くの方は価格に対するドライバー数やスペックに目が行きがちですが、その概念は一旦取り払って自分が好きな音かどうかで選ぶのが長く付き合っていく上で重要になってきます。そこら辺のイヤホンと自分のやり取りを繰り返す、トライアンドエラーするのがポータブルオーディオの面白い所ですね。


本題に戻りますが今回レビューしたDUNU HAYABUSA ULTRAはeイヤホン、ヨドバシカメラビックカメラ、フジヤエービックのオンラインショップ、店頭にて販売しているとの事。

店頭試聴可能な店舗についてはeイヤホン、フジヤエービック、ヨドバシカメラ(Akiba、新宿、横浜MM、大阪、京都)、ビックカメラ(有楽町)だそうです。興味のある方は実際に聴いてみて私のレビューと比較してみて下さい。同感出来る所もそうでない所も含めて自分自身の聴感の参考になるかと思います。